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  • 執筆者の写真瀬川久志

演歌に挑戦したい

更新日:2020年2月6日

 これまでPOPsを中心に作曲してきましたが、これからは演歌にも挑戦したいと考えています。演歌と言えば、「義理」「人情」「酒場」「失恋」「恋」「兄弟」「母」「別れ」「出会い」「旅」など、人と人の心の触れ合いの、奥深い部分を表現してきた歴史があります。

 しかしその歴史は古く、 最初は、19世紀末の自由民権運動の時代に遡り、藩閥政府に反発する公開演説会に対する当局の監視が強くなった時、圧力をかわすために政治を風刺する歌(プロテストソング)として「演説歌」が生まれたとされています。(wikipedhia 以下wikipedhiaによります)

 有名なものに、ダイナマイト節川上音二郎オッペケペー節があり、オッペケペーは私も小さいころに聞いた記憶があります。やがて、20世紀に入るころには、自由民権運動も一段落し、演説歌の内容にも変化が訪れ、題材が政治に対するプロテストから社会問題に関する風刺に代わってゆくとともに、ヴァイオリンでの伴奏が導入されるなど、芸人の要素を強めていきました。

 また、担い手も政治運動を生業とする壮氏から書生によるアルバイトに移行するなど、より商業的な存在にもなってゆきます。大衆娯楽として変質したということでしょうか。この時期の作品としては、しののめ節ラッパ節ハイカラ節などがあげられますが、私は聞いたことがありません。

 やがて、昭和初期にレコード歌謡の市場が完備されると、演歌師の活動も打撃を受け、盛り場で「流し」をして生計を立てるのが一般的になるとされ、私がはじめて出会った演歌は、酒場演歌でした。私は東京の大学生だったころに、新宿の酒場でアルバイトをしていたのですが、その酒場横丁でよく流しのギター弾きを見かけました。また、そのカッコよさに憧れたものでした。

 この昭和初期の演歌については、実証的な研究は少ないと言われ、同時代の演歌師であった添田唖蝉坊とその息子、添田知道の著作が、主要な情報源として用いられているとされています。一方でその政治的な態度についての証言に対しては、倉田喜弘西沢爽が実証的な批判的研究を行っているとされ、これは今後の課題としたいと思います。

 演歌は艶歌とも言い、独特の節回しとギターや三味線による心の銀線にふれる日本的な曲と歌い方が特徴です。演歌には、ビールやワインよりも日本酒や焼酎が似合うと言われ、それはいわゆる「酒場」の「流し」によって奏でられる曲をイメージするからでしょう。

 J-POPがどちらかというと、ひとの感情を控えめに表現するのに対し、艶(演)歌は、極限まで人の感情を背景となる風景描写に投げかける日本独特の曲の構成と歌唱方法ではないでしょうか。

 以上をまとめると、演歌はもともと政治・社会的な主張を「歌」に乗せて届ける、日本的なコミュニケーション手段で、それがJ-POPなどの洋楽と棲み分けを求める中で、今のような歌謡曲になったということでしょう。「演歌」はいつも「何か」を主張し続けてきたと言う点で洋楽に卓越した存在だということはできないでしょうか。今に求められる「何か」とは一体何なんでしょうか?


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